昔の日本では、正座で食事をすることが一般的だった背景
椅子やテーブルが一般的になる以前の日本では、畳の上に座って生活する床座の文化が長く続いていました。食事もその延長にあり、低い膳や卓を前にして座る形が自然だったと考えられます。こうした環境の中で、正座は特別な姿勢というよりも、日常的な座り方の一つとして定着していった可能性があります。
また、正座は次第に礼儀や作法と結びつき、改まった場面や来客時の姿勢として意識されるようになりました。ただし、すべての家庭や時代で同じように正座が求められていたわけではなく、地域や生活状況によって座り方には幅があったようです。正座での食事は、日本の住環境や生活様式の中で自然に形づくられてきた習慣の一つだったのかもしれません。
今回試してみた「正座で食事をする習慣」の内容
今回の体験では、数日間にわたり、食事の際に正座で座ることを意識して過ごしてみました。特別な料理を用意したり、食事の内容を変えたりすることはせず、普段の食事をそのまま正座でとる形にしています。
長時間無理に続けることはせず、途中で姿勢を変えたくなった場合は無理をしないようにしました。昔の暮らしを完全に再現することが目的ではなく、あくまで正座という座り方で食事をすると、どのような感覚になるのかを自分なりに観察することを目的としています。現代の生活の中で、無理のない範囲で試せる形に留めました。
実際に食事をしてみて感じたこと
実際に正座で食事をしてみると、最初は普段との違いに戸惑いを感じました。椅子に座る食事に慣れているため、食事を始めるまでの姿勢づくりに時間がかかり、落ち着かないと感じる場面もありました。
一方で、食事に向き合う感覚が少し変わったように感じる瞬間もありました。姿勢を意識することで、食事の動作が自然とゆっくりになり、いつもとは違うペースで食事をしていると感じることがありました。ただし、これが一貫して続いたわけではなく、日によって印象は異なりました。明確な変化があったと断言できるほどではなく、あくまで感覚的な気づきに近いものです。
正座での食事が、自分には難しいと感じた点
正座での食事を続ける中で、難しさを感じる場面も少なくありませんでした。特に、食事の時間が長くなると姿勢を保つことが負担に感じられ、途中で体勢を変えたくなることがありました。現代の食事は会話をしながらゆっくり取ることも多く、そうした場面では正座を続けるのが難しいと感じました。
また、食卓の高さや床の状態によっても感じ方が変わり、環境が整っていないと落ち着いて食事をするのが難しいと感じることもありました。こうした点から、正座での食事は、現代の生活環境では必ずしも取り入れやすいものではないと感じています。
正座という座り方から見えた、日本の食事文化の視点
今回の体験を通して印象に残ったのは、正座そのものよりも、食事に向き合う姿勢や間の取り方でした。床に座ることで視線が低くなり、食事の場全体を静かに感じ取っているような感覚になることがありました。
正座での食事は、単に座り方の問題ではなく、食事を一つの行為として丁寧に行うための環境づくりでもあったのかもしれません。昔の日本人が、食事の時間をどのように捉えていたのかを想像するきっかけになり、日本の食事文化を別の角度から考えることができました。
現代の生活に取り入れるとしたら考えられる形
正座で食事をする習慣をそのまま現代に取り入れるのは難しいと感じましたが、一部の考え方を参考にすることはできそうだと思いました。例えば、姿勢を意識して食事に向き合う時間を作る、食事のペースを少し意識してみるといった形であれば、無理なく取り入れられるかもしれません。
必ず正座である必要はなく、自分の生活環境に合った形で、食事の時間をどう過ごすかを考えることが大切だと感じました。昔の習慣をそのまま再現することではなく、考え方の一部を参考にするという距離感が現実的だと思います。
今回の体験を通して感じたこと(まとめ)
正座で食事をする習慣を試してみたことで、日本の食事文化を体感的に考える機会になりました。実際には、椅子に座ることが日常的になっている現代の生活に合う部分と、そうでない部分があり、すべてを肯定的に捉えられるわけではありませんでした。
一方で、食事に向き合う姿勢や時間の使い方について、普段とは違う視点を得られたと感じています。この記事で紹介した内容は、あくまで私個人の体験をもとにしたものです。正座や日本文化に触れる一例として、参考程度に受け取ってもらえれば幸いです。